医療費40兆円の配分を巡って医療関係者が一喜一憂する診療報酬改定の季節が今年もまたやってきた。
中医協を舞台に繰り広げられる、この医療界最大のイベントを取り仕切るのが厚生労働省保険局医療課だ。総勢約80人に上る同課を率いるのが医系技官の医療課長である。
医療関係者が過去の診療報酬改定を語るとき、必ず出てくるのが担当した医療課長の名前だ。保険局長の名前が枕ことばにつくことはまずない。医療課長の存在感はそれほどに大きい。
現職の森光敬子医療課長の名前とともに語られることになる2020年度改定論議本格化を前に、過去の診療報酬改定をあらためて振り返る狙いから、医療課長経験者6氏にインタビューし、それぞれが行政当事者としていかに改定作業に取り組み、何を目指したかについて聞いた。
本連載(7回)では、西山正徳氏(04年改定)、原徳壽氏(08年改定)、佐藤敏信氏(10年改定)、鈴木康裕氏(12年改定)、宇都宮啓氏(14年改定)、宮嵜雅則氏(16年改定)の医療課長経験者に加え、医療側から見た改定経緯について猪口雄二・全日本病院協会長(中医協委員)のインタビューを掲載する。