派遣ケアマネ、要介護者をスクリーニング  金沢の1.5次避難所で【無料】

2024年1月16日 22:14

オンライン取材で、被災地支援について説明した七種副会長=16日

 能登半島地震を受け、日本介護支援専門員協会は15日から、志願した会員ケアマネジャーの被災地派遣に乗り出した。協会の石川県支部から業務を引き継ぎ、金沢市の1.5次避難所で、要介護高齢者のスクリーニングなどに当たる。協会で災害対策を担当する七種秀樹副会長は、「現地の会員はかなり疲弊し、被災している方もいる。まずは負担を軽減する必要がある」と話す。

 厚生労働省の「被災高齢者等の把握事業」を踏まえ、協会と県支部は、石川県などとの間で、派遣に向けて調整。15日に県から正式な要請があり、派遣を始めた。厚労省からも、できるだけ早期の対応を依頼されていた。

 派遣ケアマネによる取り組みは、大きく2つ。1つ目は、県が1.5次避難所に指定した「いしかわ総合スポーツセンター」(金沢市)での要介護高齢者のスクリーニング。2つ目は、同センターの要介護高齢者と、2次避難先の施設のマッチングとなる。

 これまでは、県支部が対応に当たってきた。ただ最近は、親族らを頼って金沢市などに自主避難した要介護高齢者からのサービス利用依頼が増えており、業務量が増加。「現地の会員は、八方ふさがりになっている」(七種氏)という。

 今後、県支部の会員には、通常業務のほか、金沢市などでの新たな介護ニーズへの対応に当たってもらう方針だ。

 協会は12日、ボランティアの派遣ケアマネの募集を始めた。16日時点で、隣接する富山県、福井県を含めて、会員36人が手を挙げた。協会が認定する「災害支援ケアマネ」もいる。1人の活動期間は、3日以上を想定している。

 富山、福井からは、石川に日帰りできるため、ピンポイントの支援にも並行して取り組む計画だ。

●能登北部、全体状況は把握できず

 協会は9日、被災地のケアマネ向けの相談窓口を設置した。しかし、能登半島北部への道路網が寸断されたため、北部の会員や利用者の全体的な状況は、現在も把握できていない。電話で連絡が取れた会員からは、「心が折れそうな状況だ」との声も出ているという。

 七種氏は、道路復旧の様子も見ながら、北部への支援も視野に「フォロー体制を再構築していきたい」とした。

 厚労省は5日付の事務連絡で、被災した居宅介護支援事業所について、一時的に担当件数の上限を超えたり、人員不足に陥ったりしても、柔軟な対応が可能だと自治体に周知した。

 ただ、具体的な運用を巡っては、自治体間で温度差もあるという。このため、事務連絡の内容を分かりやすくした「要約版」を作成し、協会のホームページ(HP)で公表した。自治体担当者との相互理解を助けるツールとしても、活用を呼びかけている。要約版の詳細は、協会HPを参照(https://www.jcma.or.jp/?p=652626)。

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