日本医師会の茂松茂人副会長は17日、災害時の医療の在り方をテーマに開催された医療経済フォーラム・ジャパンのシンポジウムで講演し、1月に発生した能登地震でJMAT(日医災害医療チーム)を1日当たりチーム数の累計で3849チーム派遣したことなどを報告した。次なる大規模災害は、少子・超高齢社会、インフラ劣化などでより深刻になることが想定されると指摘。医療を中心とした災害に強いコミュニティーや、どのような災害にも対応できる体制を国を挙げて平時から検討しておく必要性を強調した。
茂松氏は、日医の災害支援について「最終目標は、被災地に地域医療を取り戻すことだ」と述べ、発災前の備えから収束・復旧期まで長期間に及ぶと説明。普段、かかりつけ医やかかりつけ医と連携している医師に加え、看護師などがJMATに参加しており、「被災地の住民に寄り添った医療を提供するとともに、被災した医療機関を支えることも重要な活動だ」とした。
その上で、能登地震では発災当日に日医として災害対策本部を設置し、石川県医では災害対策本部やJMAT調整本部、調整支部を立ち上げながら対応に当たったことを報告。JMATチームを計1097チーム、1日当たりチーム数の累計で3849チーム派遣し、派遣者数の合計は3583人、1日当たり累計1万2374人に上ったと説明した。
南海トラフ地震など次の大規模災害では、能登地震と同様、支援チームのアクセスの困難や、被災地における医療機能の深刻な被害が想定されると説明。また、「災害時要配慮者は高齢者だけでなく、近年増加している医療的ケア児への対応も課題だ」と指摘した。その上で、医療を中心とした災害に強いコミュニティーや、どのような災害にも対応できる体制を国を挙げて考える必要性を訴えた。