能登地震、被災看護師の後方支援に注力  日看協・高橋会長【無料】

2024年1月17日 4:30

能登半島地震への対応について説明した高橋会長

 能登半島地震を受け、日本看護協会の高橋弘枝会長はじほうの取材で、被災地で働く看護師が安全・安心に力を発揮できるよう、迅速な後方支援に注力していると説明した。被災地の看護師に対しては、「自身も被災者であり、相当なストレスがあると思う」と心境を推し量った。災害支援ナースについては、患者・避難者の動向も見定めつつ、まず1カ月間は着実に派遣できるよう、調整中だとした。

 協会は、震災が起きた1日夜に、危機管理対策本部を設置。2日以降、北陸4県の看護協会を通じて情報収集に当たった。道路の状態や支援対象などを把握しながら、災害支援ナース派遣に向け、全国の都道府県の看護協会と調整した。

 6日、石川県からの要請に基づき、第1陣の災害支援ナース12人を送った。15~18日に派遣の第5陣まで含めて、派遣者数は延べ446人に上っている。当初は病院で活動し、10日に派遣した第3陣以降は、避難所、1.5次避難所でも活動している。

 これとは別に、協会は早期から、石川の県庁や県看護協会に、職員を派遣。現地の災害対応を支援している。

●災害支援ナース、「普段の研鑽」が生きる

 高橋会長は、被災地に住む看護師について、「やはり、精神的・肉体的負担を軽減することが大事だ」と語った。災害支援ナースに対しても、「被災した医療従事者の置かれている状況に配慮し、また、現地の状況に合わせた活動をすることを、強く意識してもらっている」とした。派遣当日から夜勤に入り、現地の医療従事者の負担軽減を図った事例もあったという。

 災害支援ナースの業務内容は、多岐にわたる。今回も、重症者を含む救急患者や余震に不安を抱く入院患者への対応、感染防止のための環境整備などに当たっている。限られた医療物資で工夫して、課題に対応しているケースもある。

 高橋会長は、ここまでの災害支援ナースの活動について、「実践力があり、柔軟な対応ができている」と評価。「それができるのは、普段から研鑽を続けているためだ。本当に敬意を表したい」と述べた。

●長期的視点も重要

 過去の災害経験を通じて、協会はノウハウを蓄積していると説明。特に、「状況の変化・進展とそれに必要な対応のスケジュール感」を冷静に見通せるという。

 高橋会長は「先を見据えて対策を練っていく必要がある」と指摘。ニーズに応じて適切に看護師を派遣する一方、長期的な観点として、被災地で自立的に医療業務に当たれる体制づくりもサポートしていくべきだとした。

前のページへ戻る

関連記事

団体・学会 一覧一覧

特集・連載:2024能登半島地震一覧