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能登半島地震を受け、日本医師会が各都道府県医師会に呼びかけて被災地に派遣したJMAT(日医災害医療チーム)の活動が、5月末で終了した。日医の災害担当常任理事、細川秀一氏は本紙の取材で、今回の経験を踏まえ、「日医から派遣したチームが、発生初期の指揮命令体制を支援することが有用ではないか」と話した。
1月1日の震災発生後、3日にJMAT先遣隊を送った。5日には石川県医師会のJMAT派遣、6日には県外からの派遣が始まった。日医からも、早期の段階でチームを金沢市に送った。地元の石川県医師会とも協力し、長期にわたって、派遣先の調整などに当たった。
●「災害に慣れている都道府県医はない」
細川氏は、これまでのJMAT活動での日医の動き方に言及。被災した都道府県医からの要請に応じて、各都道府県医に隊の編成を依頼し、編成された隊を登録することが、日医の主な役割だったと説明した。
「災害に慣れている都道府県医はない。被災した都道府県医が、すぐにいろいろな支援チームの統括機能を果たせるかといえば、なかなか難しいのが現状」だと指摘。能登半島地震のように局地的な災害の場合、日医がいち早く現地にチームを派遣して、指揮統括機能を支援する必要があるとの認識を示した。
研修などを通じて、指揮統括を担える人材を育成することも、今後の課題に挙げた。「まず現地に入って、何が必要かを把握して、的確に指揮ができる人材を育てていく必要がある」と説明。円滑な情報収集・伝達や引き継ぎのため、情報共有ツールの精緻化も図るべきだとした。
●「長期化」に備えた対策を
能登半島地震で、JMAT派遣は5カ月程度に及んだ。活動が長期になった結果、都道府県医から派遣が一定期間できない「空白」も生じ、引き継ぎが滞るなどの課題も生じた。
細川氏は、派遣が長期にわたる場合に備えた対策が重要だとした。
「比較的長期に支援活動に参加できる医師らを発掘し、都道府県医単位であらかじめ登録しておく仕組みも必要ではないか」と述べた。診療科など専門性に着目して、派遣する医師を登録しておくことも検討すべき、との考えを示した。
具体化に向けて、都道府県医と協議を進める構えだ。
能登半島地震の教訓を踏まえ、日医は、JMATの在り方などを「救急災害医療対策委員会」で検討していく。