
日本医師会の松本吉郎会長は9日の定例会見で、2026年熊本地震で8月5日から行っていた、防衛省による民間からの借り上げ船舶「はくおうⅡ」へのJMAT派遣を、今月9日付で終了すると発表した。「(はくおうⅡにおける)患者は、必ずしも多くはなかったが、JMATによる迅速かつ手厚い対応から、船舶医療でのJMATの役割の大きさが実証された」との認識を示した。
「はくおうⅡ」における医療支援活動は、21年に成立した「災害時等における船舶を活用した医療提供体制の整備の推進に関する法律」に基づく初めての事例。熊本県医師会や八代市医師会が、地域医療の被災状況を踏まえ、木村敬熊本県知事を通じて赤間二郎防災担当相に船舶を活用した医療の実施を要請した。熊本県医が編成した被災地JMATが、「はくおうⅡ」での医療支援を担い、主に住民の健康チェックや船内の患者を陸上の医療機関につなぐ役割を担った。派遣数は8日午後6時までに延べ26チーム・97人に上っている。
松本会長は、震災後、市内の病院にかけた電話がなかなかつながらず、不安を感じ、その後「はくおうⅡ」で診察を受けることができた患者からお礼状が届いたエピソードを紹介。「その患者には、『はくおうⅡ』のJMAT医師から適した診療科を案内し、無事、地元の医療機関での治療につながった」と説明し、船舶医療におけるJMAT活動は大きな意義があったとの認識を示した。
一方、船舶の運用が気象状況の影響を受けやすいことや、船内でのストレッチャーの移動など重症患者受け入れ時の効率的な連携といった点について課題感を示した。
●熊本県JMAT調整本部を県医師会館に移転
JMAT全体の派遣数は、延べ362チーム・1450人に上った。医療支援ニーズの収束傾向を受け、熊本県医療救護調整本部が閉鎖されることに伴い、熊本県JMAT調整本部を10日付で県庁から熊本県医師会館に移転。JMAT調整八代地域本部も、避難所などの巡回で連携している日赤が活動拠点を置いている八代市役所に7日付で移転した。八代市医も7日から、避難所の巡回を開始。JMATと役割分担をしながら、地元の医療機関への橋渡しを進めていく。
このほか、今回の震災におけるJMAT活動をまとめたショート動画を、日医公式ユーチューブチャンネルで公開したことも紹介した。








