国立病院機構埼玉病院の服部純尚・周産期母子センター産婦人科部長は10日、日本産婦人科医会の記者懇談会で、能登半島地震の被災地での周産期医療支援について報告した。DMAT(災害派遣医療チーム)に産婦人科医が少ない課題もある中、被災地支援をより充実させるには、関係者間のコミュニケーションの充実が欠かせない、との見解を示した。
服部氏は1月、石川県能登市で支援に当たった。現地で国病機構医療班、DMATチームとして、1月12日から5日間活動。さらに、DMATのロジスティックチーム(本部要員)として、同21日から5日間、活動した。
●周産期支援の初動、「全体としてはうまくやれていた」
その間、避難所の産褥期の授乳婦らに対し、衛生環境が整う母子福祉避難所への移動を働きかけた。山間部の自宅に残る妊婦との面談や、市調整本部での支援も経験した。
服部氏が支援した時期には、奥能登にいた妊娠30週以降の妊婦のほぼ全員が、すでに他の地域へと移動していた。周産期支援の初動は、「全体としてはうまくやれていたという印象だった」と話した。
ただ、わずかに残るニーズへの対応の在り方について、「現地の医師から見れば十分と言えなかったかもしれない」と振り返った。現場の対応をより良いものにするには、災害時小児周産期リエゾンや、地元の医師らとのコミュニケーションが大切だとの認識を示した。