日本医師会の松本吉郎会長は7日の会見で、能登半島地震の被災地の復興に向け、「地域のかかりつけ機能、地域包括ケアを担う診療所を、一刻も早く復旧させることが求められる」と述べた。国や石川県に対し、復旧支援を要請していく構えだ。
日医によると、能登北部4市町(輪島市、珠洲市、能登町、穴水町)の診療所28カ所のうち、通常の診療が可能なのは、いまだ数施設にとどまっている。今も続く断水や、建物の被害、事務職員らが出勤できない状況などが、主な要因だという。
現在、JMAT(日医災害医療チーム)などが、地域の診療所医師らに協力。発熱外来に対応するなど、診療所の機能再開をサポートしている。
松本会長は「JMATなどの医療支援活動の最終目標は、被災地に地域医療を取り戻すこと。つまり、診療所医師や看護職、事務職の方々に、再び地域に根差してかかりつけ機能を発揮していただけるようにすることだ」と語った。
被災した診療所の復旧に向けて、水道をはじめとしたライフラインの早期復旧などを、国や県に訴えていく考えを示した。
●医療支援、「新たな課題」も 12日に再び石川へ
被災地での医療支援活動について、「新たな課題も見えてきた」と指摘した。▽現在DMAT(災害派遣医療チーム)が行っている活動を、どのようにJMATに引き継ぐか▽金沢市以南の医療機関に移送された人をどこで受け入れるか―といった課題に言及した。
12日に再び金沢市を訪れて、関係者と意見交換する予定だとした。「被災地の声をしっかり聴き、課題の解決方法などを考えていきたい」と話した。
JMAT派遣については、輪島市内に大型宿泊施設を確保できたと説明。「北部への支援がますます広がっていくと期待している」とし、長期的に派遣を続けていく意向を示した。
●JMAT、累計387隊に
会見に同席した日医の細川秀一常任理事は、被災地に派遣したJMATが、6日時点で累計387隊になったと発表した。6日は37隊が活動した。
輪島市内に宿泊施設を確保できたため、「輪島市への派遣数が増えている」とした。今後、状況が改善すれば、通常より装備が充実している「重装JMAT」に加え、通常のJMATについても珠洲市などへの派遣を充実させていく姿勢だ。
JMAT派遣の調整本部・支部機能が充実してきたとして、「当初よりも、効率的で充実した派遣が可能になってきている」と述べた。