日本医師会は21日、「地域に根ざした医師会活動プロジェクト」の第3回シンポジウムを開いた。1月の能登半島地震をテーマに、JMAT(日医災害医療チーム)をはじめ、災害時の医療支援について意見を交わした。
●多機関・多職種との連携を 統括JMAT・秋冨氏
能登半島地震で統括JMATとして、派遣調整などに当たった秋冨愼司氏(日医総研主任研究員、石川県医師会参与)は、過去の災害時の経験を踏まえ、多機関・多職種との連携が重要だと指摘した。
能登半島地震では、さまざまなICT技術を活用して、派遣先のニーズを把握したと説明。ほかに派遣された、さまざまなチームと連携しながら、JMATの派遣を調整したと振り返った。
全国から集まったJMATに対しては、「長期間にわたってパワーを発揮していただいた」と謝意を示した。
●災害対策、地元の協議のきっかけに JMAT隊員・中川医師
JMAT隊員として石川県内で活動した中川麗医師(札幌市医師会理事、JR札幌病院プライマル科長)は、派遣された当初、被災地の状況が想像以上に深刻だったと報告。「うまく支援に結びつかないことに戸惑った」と述べた。
しかし、地元医師会の強い熱意を感じ、それに応じようと、できる限りの支援活動に当たったとした。
被災地で学んだことは多かったと説明。災害を身近に感じたことで、「札幌に戻った後、近隣病院と、災害時の協力体制について協議を始めるきっかけになった」と話した。