能登半島地震で被災した診療所などの復旧に向け、日本医師会の松本吉郎会長は12日、石川県庁を訪れ、馳浩知事に財政支援を求めた。
要請後、記者団の取材に応じた松本会長は「医療・介護・福祉といった生活の基盤が整備されないと人は住めない、と馳知事に申し上げた。知事からも『支援をしていきたい』という話をいただき、心強く思っている」と話した。
松本会長は「医師会による支援活動は、被災地に地域医療を取り戻すことが目標だ」と述べた。現在、能登北部の診療所24カ所のうち、通常診療が可能となっているのは15カ所だと指摘。「1.5次、2次避難所に避難されている方々が、地元に帰りコミュニティーを再建するためには、地域のかかりつけ機能、地域包括ケアシステムを担う診療所の一刻も早い復旧が不可欠だ」と強調した。
知事に対しては、特に水道をはじめ、ライフラインの復旧を求めたと説明。復旧によって「能登北部・中部の診療所がフル活動できるようになり、高齢者施設の支援も可能になる」とした。
日医としても、JMAT(日医災害医療チーム)の重要ミッションに能登北部の診療所支援を位置付け、支援を続けていく構えだ。
●DMAT縮小、「JMATへの円滑な引き継ぎを」
震災後、松本会長が石川県を訪問するのは、1月12日に続いて2回目。今回は、県庁内のJMAT調整本部や、1.5次避難所となっているいしかわ総合スポーツセンター(金沢市)、2次避難所に足を運び、関係者と意見交換した。被災地でのDMAT(災害派遣医療チーム)活動が縮小に向かっているため、「JMATへの円滑な引き継ぎを段階的に進めていく必要がある」とした。
JMAT活動に参加している医療従事者には、敬意を表した。「自院での診療がありながら支援活動を続けていくことは本当に大変だし、リスクもある。息の長い支援をお願いしたい」と語った。大学病院関係者による専門性を生かした支援活動も「今回の災害支援の特徴」だとして、こちらにも謝意を示した。
●地域医療復旧へ「立ち上がっている」 石川県医・安田会長
知事への要請に同行した石川県医師会の安田健二会長は、「被害の大きかった能登北部の診療所医師たちは、JMATによる支援のおかげで、地域医療を取り戻そうと立ち上がっている」と話した。金沢市などの避難所への巡回でもJMATが活躍しているとし、支援に感謝の言葉を述べた。