能登半島地震を受け、日本産婦人科医会(JAOG)は、石川県産婦人科医会の会員を対象として、モバイル型の胎児モニター「分娩監視装置iCTG」の貸し出しを始めた。通信環境が整っていれば、妊婦が避難所などにいても、医師が遠隔管理できるとしている。10日時点で、モニターは恵寿総合病院(石川県七尾市)で稼働中だ。
開発企業のメロディ・インターナショナル(高松市)の協力を得て、9日から希望者を募っている。日本産婦人科医会が運用を手配し、手を挙げた会員への貸与は、3カ月間程度を想定。医療機関への輸送上の課題などに対応するため、医会の事務局で希望者の相談を受け付ける。
●コロナ禍でも貸し出し
この製品は、妊娠後期の28週以降の健診で用いる胎児モニターを小型化させたもの。IoT機器としてスマートデバイスと連動させることで、場所を問わず、妊婦管理を行うことができる。取得データは、周産期遠隔医療プラットフォーム「Melodyi」で、医師がクラウド上でアクセスできる。2018年に医療機器として薬事認証を得ている。
新型コロナが拡大した緊急事態宣言下では、JAOG会員が勤務する周産期センターなどに、無料で貸し出した実績がある。
JAOGの平田善康常務理事は「被災した妊婦は心身ともに不安を抱えているはずなので、モニターの活用で、それらを少しでも和らげることができたら」と話している。