19年参院選、自民・高橋進吾氏「できる限り支援」  日歯連・高橋会長

2018年11月30日 19:45

来年の参院選の対応を説明する高橋会長=30日、歯科医師会館

 日本歯科医師連盟の高橋英登会長は11月30日の記者会見で、2019年参院選比例代表の自民党公認候補予定者に決まっている兵庫県議で歯科医師の高橋進吾氏について「私たちは先頭に立って主体的な選挙活動はしづらいが、国民歯科医療のために意を決して手を挙げてくれた会員。日歯連としては、評議員会の決定に基づき、できる限りの支援をしていく。高橋氏に国政で働いてもらいたい」などと述べた。

 日歯連は高橋氏に対し、マンパワーの支援などを行っているという。また都道府県歯科医師連盟に対しても、アドバイスや各種情報提供などを行っていく方針。

 日歯連は、迂回献金事件の影響を考慮し、19年の参院選比例代表で組織代表を擁立した日歯連主体の選挙を行わない方針。すでに47都道府県歯科医師連盟のうち45連盟が高橋氏の推薦を決めている。

自民・社保調査会の幹部、三師会幹部と「顔合わせ」

2018年11月30日 19:37

 自民党の社会保障制度調査会(鴨下一郎会長)の幹部は30日、日本医師会など三師会の幹部と面会し、2019年度予算編成・税制改正などについて意見を聞いた。自民党が10月に「社会保障制度に関する特命委員会」を改組して調査会を設置し、幹部の顔ぶれにも変化があったため、「顔合わせ」の色彩が強い面会となった。

 日医からは横倉義武会長らが出席。提出資料では、19年度社会保障関係費の自然増について「国民が必要とする医療・介護の財源はきちんと確保すること。特に20年度の診療報酬改定に影響が及ぶことがないようにすること」を求めた。19年10月の消費増税に向けて地域医療介護総合確保基金の増額を主張したほか、19年6月に東京で開催予定の「H20(ヘルス・プロフェッショナル会合)」を巡って政府予算での補助を要望した。19年度税制改正については、控除対象外消費税問題などへの対応を求めている。

 日本薬剤師会は提出資料で、国公立病院などにおける敷地内薬局の誘致問題を取り上げた。出席議員からは、この問題に対する厚生労働省と文部科学省のスタンスが異なっているのではないかとして、調査会の検討テーマとすべきだとの声が出たという。

ACPの愛称「人生会議」に決定  厚労省が発表

2018年11月30日 18:42

右から2番目が「人生会議」を応募した須藤さん=30日、厚労省

 人生の最終段階の医療・ケアについて、家族や医療・ケアチームと繰り返し話し合う取り組みを表す「ACP(アドバンス・ケア・プランニング)」の愛称が、「人生会議」に決まった。厚生労働省が30日に発表会を開いた。

 厚労省はACPの普及に向け「ACP愛称選定委員会」を設置。公募で寄せられた1073件の中から、聖隷浜松病院の看護師、須藤麻友さんが応募した「人生会議」に決定した。選定委員会の内多勝康座長(国立成育医療研究センターもみじの家ハウスマネジャー)は「ACPの考え方や取り組みが全国に広がることが目的。『うちもそろそろ人生会議をやろうよ』と日常会話になることを期待している」と述べた。

●諮問会議で“終末期”は議論されない  新浪構成員

 経済財政諮問会議の民間議員も務める新浪剛史構成員(サントリーホールディングス社長)は「諮問会議では、財政の観点から終末期医療を議論しようという機運があった。しかし財政で議論する類いのものではなく、亡くなる方や看取る家族がQOL的にどのような状況にあるのかを見極め、国民的議論にする課題だと申し上げたことでメンバーに選ばれたのだと思う。諮問会議では今後、この議論はされないだろう」と見通した。

 発表会の終了後、新浪構成員は本紙に「人生会議はQOLを向上させる。普及に予算が必要なら付ければよい」と述べた。

 選定委員会ではまた、人生会議の日を11月30日に決めた。「いい(11)看取り・看取られ(30)」の語呂合わせ。

自民・税調、医療の控除対象外消費税問題も俎上に  3日に小委

2018年11月30日 18:38

 自民党の税制調査会(宮沢洋一会長)は30日、一部幹部らによる会合を開催した。2019年度税制改正に向け、厚生労働部会など各部会からの要望項目への対応を判断する、いわゆる「○×審議」の予備的な検討の場で、参加者によると医療の控除対象外消費税問題も俎上に上がったもよう。週明け12月3日の税調小委員会であらためて○×審議を行った上で、各部会の要望項目についての判断を示す方向だ。

国際疾病分類の改訂でシンポジウム  厚労省

2018年11月30日 18:02

ICD-11の重要性が説明された=30日、国連大学

 厚生労働省は30日、世界保健機関(WHO)が今年6月に国際疾病分類の第11回改訂版(ICD-11)を公表したことを記念して「日・WHOフォーラム2018」を国際連合大学(東京都渋谷区)で開催した。ICDは、疾病や傷害、死因などの統計の国際比較を可能にするためにWHOが勧告する統計分類。日本でも、ICDに基づき人口動態統計として死因統計などを公表している。WHOがICDを改訂するのは、前回改訂の1990年以来約30年ぶり。

 改訂したICD-11には、最新の医学的知見などを反映した。今後は、2019年にWHOの世界保健総会に提出され、22年に発効となる予定。現在、厚労省でも国内適用に向けた検討が始まっている。

 日本病院会の相澤孝夫会長は挨拶で、日本はICDを使用して質の高い臨床データを作成しており、そのスキルは診療報酬でのDPCコーディングやがん登録において貢献できる人材の育成にも役立っていると説明。「診療記録は病院の宝で、病院の質を代表するものであり、そこから得られる質の高いデータは患者の治療はもとより医学、研究、経営などに活用される重要な情報になる」とも述べ、ICD改訂の重要性を強調した。

消費税問題「全ての医療機関に公平な新たな仕組みを」  日病協

2018年11月30日 17:48

消費税問題解消に向けた考え方を説明する山本議長(右)=30日、日本病院会

 日本病院団体協議会は30日の代表者会議で、近くまとまる2019年度与党税制改正大綱を見据え、控除対象外消費税問題の解消に向けた最終的な考え方をまとめた。日病協の要望書として内容を整理した上で関係者に発信する。山本修一議長(国立大学附属病院長会議常置委員会委員長)は会見で「三師会、四病協でまとめたものをたたき台として、よりメッセージ性を強く、分かりやすく書き換えた」と述べ、歩調を合わせる姿勢を示した。

 控除対象外消費税の診療報酬への転嫁は基本診療料・調剤基本料へのきめ細やかな配分で精緻に実施し、定期的に検証することが当然とした。同時に、個別医療機関ごとの補填のばらつきを診療報酬のみで対応するのが困難であることは周知の事実とし、全ての医療機関に公平な新たな仕組みの実現を求めた。具体的には、公立・公的・学校法人・社会医療法人など法人税非課税の医療機関が不利益を被ることがないようにすべきとした。加えて、これらの対応が実現しない場合には、検討を続けるよう申し添えた。

●「研鑽」と「労働」の切り分け、現場が混乱しない方法に

 代表者会議では、医師の働き方改革も議題に上った。厚生労働省が19日の「医師の働き方改革に関する検討会」で医師の研鑽と労働時間の管理を上司の判断を基に運用すると提示したことについて、山本議長は「現場が混乱しないように簡便な方法をぜひ厚労省から提示していただきたい」と述べた。

 天皇陛下の退位などで、来年4月27日~5月6日まで10連休になることへの対応についても協議した。特定の医療機関へ患者が集中するなどの問題が想定されるため、それぞれの地域で対策を検討することなどを確認した。

伝染性紅斑、定点当たり0.61で依然「やや多い」  感染症週報第46週

2018年11月30日 17:25

 国立感染症研究所は30日、感染症週報第46週(11月12~18日)を公表した。伝染性紅斑の定点当たり報告数は0.61だった。前週からやや減少したものの、過去5年間の同時期と比べてやや多い状況が続いている。都道府県別の上位3位は、宮城(4.25)、新潟(1.63)、東京(1.48)。報告数は1921例。

【最近の注目疾患】

●咽頭結膜熱(小児科定点報告疾患):報告数1644例
 定点当たり報告数は0.52で、過去5年間の同時期と比べて若干多い。5週連続で増加している。都道府県別の上位3位は、新潟(1.46)、富山(1.41)、群馬(1.17)。

●A群溶血性レンサ球菌咽頭炎(小児科定点報告疾患):報告数7660例
 定点当たり報告数は、前週から横ばいの2.43。過去5年間の同時期と比べて若干多い。都道府県別の上位3位は、鳥取(4.26)、福岡(4.18)、北海道(4.02)。

ゲノム編集で双子誕生「極めて重大な懸念」  日医と医学会が共同声明

2018年11月30日 17:17

 中国・南方科技大の賀建奎副教授らがゲノム編集技術で遺伝子を改変した双子を誕生させたとされる問題で、日本医師会と日本医学会は30日、共同声明を発表した。実際に双子が誕生したのか「真偽は現時点では不明」とした上で、この問題について極めて重大な懸念を表明。「今後、同様な非倫理的行為が行われることのないよう、こうした研究や医療に携わる全ての者に対し、強く要請する」と訴えた。

 今回、ゲノム編集技術を用いた受精胚が使用されたと報道されているが、共同声明では「わが国において、ヒト受精胚は『人の尊厳』という社会の基本的価値を維持するために特に尊重されるべき存在であり、かかる意味で『人の生命の萌芽』として位置付けられている」と説明。さらに「今回の行為は、産まれてきた女児らの身体的、精神的、社会的な安寧を踏みにじるものであり、国際的な倫理規範から見ても常軌を逸したものだ」と強く批判している。

福島の医療法人翔洋会が民事再生法適用申請  帝国データバンク

2018年11月30日 16:32

 帝国データバンクによると、医療法人翔洋会(資産の総額0円、いわき市、理事長=小林俊二氏、従業員250人)は30日に福島地方裁判所いわき支部へ民事再生法の適用を申請し、同日保全命令、監督命令を受けた。

 同法人は、1968年6月に磐城中央病院を開院、80年8月に法人改組。94年4月には、老人保健施設「ヘルスケアホームいわき」を開設し、その後も居宅介護支援事業所やグループホーム訪問介護施設を相次いで開設した。また2016年7月には磐城中央クリニック、同年8月に小名浜中央病院といったサービス付き高齢者向け住宅を新設するなど業容を拡大。18年3月期には年収入高約17億4000万円を計上していた。

 しかし度重なる介護施設や病院の建設と、それに伴う医療器械等の導入から、18年3月期時点で有利子負債が年商の約3倍にまで膨らみ、累積損失は6億円強と債務超過の状態に陥っていた。この間、バンクミーティングを開催するなど経営再建を図っていたが、業績回復や財務体質の改善が難しく資金繰りは悪化。自力再建を断念し、今回の措置となった。

 負債は18年3月期末時点で約61億6400万円。

第1回公認心理師試験、合格者2万7876人  合格率79.6%、厚労省

2018年11月30日 15:57

 厚生労働省は30日、9月に実施した第1回公認心理師試験の合格者が2万7876人(合格率79.6%)だったと発表した。受験者数は3万5020人。合格者のうち女性が2万896人、男性が6980人だった。年齢別では、31~40歳が最も多く9871人(35.4%)、次いで41~50歳が7158人(25.7%)となった。都道府県別では最も多い東京が5328人、次いで神奈川が2387人、大阪2067人。

病院の病床数、療養が1327床減で全体154万7994床に  18年8月医療施設動態調査

2018年11月30日 15:40

 厚生労働省は30日、2018年8月末の医療施設動態調査(概数)を発表した。病院全体の病床数は154万7994床で、前月から1630床減少した。病床別では、一般病床が344床減の89万1245床、療養病床は1327床減の32万182床となった。

 精神病床は32万9909床(47床増)、感染症病床は1876床(6床減)、結核病床は4782床(増減なし)だった。

 病院の施設数は、前月から2施設減少し8376施設。一般診療所は前月から109施設増加し10万2011施設となった。内訳は、有床診が6948施設(20施設減)、無床診が9万5063施設(129施設増)だった。

インフル報告数、前週から微増の定点当たり0.52  18年第47週

2018年11月30日 15:39

 厚生労働省は30日、2018年第47週(11月19~25日)のインフルエンザ発生状況を公表した。定点当たり報告数は、前週から微増の0.52(患者報告数2572人)となった。都道府県別の上位3位は、三重(1.33)、青森(1.18)、鹿児島(1.18)だった。

 33道府県で前週の報告数から増加し、11都県で減少した。全国で警報レベルを超えている保健所地域はなかったが、注意報レベルを超えている保健所地域は1カ所(1県)あった。

 定点以外を含む全国の医療機関をこの1週間に受診した患者数の推計は、前週の約1.3万人から増加し約1.8万人となった。基幹定点からのインフルエンザ患者の入院報告数は47例で、そのうち10例が80歳以上だった。インフルエンザ患者数の推計方法は、より正確な数値とするため今シーズンから変更されている。新推計方法に基づく数値は、従来の推計値に0.66を乗じた値となっている。

 直近5週間のインフルエンザウイルスの検出状況を見ると、AH1pdm09、AH3亜型の順だった。

 学校関連施設では、学年閉鎖が10施設、学級閉鎖が61施設だった。

連携推進法人「房総メディカルアライアンス」発足へ  亀田グループ太陽会など

2018年11月30日 15:20

左から亀田理事長、山野井和弘富山国保病院事務長、南房総市の西田勝幸総務部総務課長

 亀田グループの社会福祉法人太陽会と南房総市は、人口減少が進む地域での地域医療の再建を掲げた「房総メディカルアライアンス」を発足させた。年内にも首都圏で初めての地域医療連携推進法人として、千葉県から認定される見通しだ。参加するのは太陽会が運営する安房地域医療センター(館山市)と南房総市立富山国保病院で、連携推進区域は南房総市、館山市、鴨川市、安房郡鋸南町となる。

 同アライアンスの理事には、太陽会の亀田信介理事長(亀田総合病院長)、南房総市の石井裕市長ら4人が就任し、9月末に一般社団法人を設立した。具体的な連携内容としては、▽医療介護従事者に関する派遣体制整備や共同研修▽医薬品・医療機器の共同購入の調整▽法人グループ内の機能分担と病床調整▽高額医療機器などの共同利用▽ICTを活用した連携業務の効率化―などを進める計画だ。

 亀田理事長は、対象地域の人口減少が急速に進んでおり、0~14歳将来人口推計では2015年を100とした場合、45年に鴨川市で61.7、館山市56.9、南房総市36.7まで落ち込むことなどを説明。人口が3分の1まで減ることが見込まれる中で「どのような医療提供体制やインフラを整備するべきなのかを今から議論しなければ間に合わない」と同アライアンスの発足意義を強調。さらに「行政と民間が連携することで人事交流や、医薬品等調達での経営改善につなげることが可能になる。医療サービスの質を高めるとともに、安定的な経営を追求していきたい」と今後の展開に意欲を見せた。

 同アライアンスに参加する富山国保病院(51床=一般35床・療養12床・感染症4床)は国から年間1億1000万円の交付金を受けているが、救急医療から撤退すると交付金のうち5000万円が削減される状況だ。加えて17年10月には労働基準監督署の立ち入り調査で改善命令を受けた。安房の地域医療構想調整会議でも、医師確保が厳しい状況の中で、地域医療を再建するための方策が必要との認識が共有されていたという。

 富山国保病院は当面、救急医療を継続させ、一般病床を地域包括ケア病床に変更し、将来的には全病床を地域包括ケア病床に転換することも選択肢の一つに挙げている。地域包括ケア病棟入院料1を選択した場合は、在宅対応も求められるため「機能強化型在宅支援病院」を目指す方向で検討する。

 一方、安房地域医療センター(149床)では、12月から訪問看護ステーション・機能強化型を見据えた取り組みをスタートさせる。今後は富山国保病院に、亀田グループの総合診療医研修の機能も担ってもらう計画だ。同アライアンスは医療従事者を相互派遣できる仕組みなどについても探っていく方針。

AMRワンヘルス動向調査の報告書を公表  厚労省

2018年11月30日 15:11

 厚生労働省は29日、2018年度の「薬剤耐性(AMR)ワンヘルス動向調査年次報告書」をホームページに公表した。報告書では、臨床医を対象とした抗菌薬投与に関する意識調査を掲載。全体の約6割が、かぜ症候群に対して抗菌薬を投与する割合を「0から10%未満」と答えた。また、投与する理由については「ウイルス性か細菌性かの鑑別に苦慮する」が3割以上で最も多かった。

 また、患者が抗菌薬投与を希望した場合については、半数以上の医師が「説明しても納得しないときには抗菌薬を処方する」と答えた。

 厚労省が16年4月に公表した「薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン」では、それまで分野ごとに分離されていた動向調査を統合するワンヘルス動向調査の実施を明記していた。報告書では▽ヒト▽動物▽食品▽環境―の4分野について、薬剤耐性菌などの現状や動向を集約している。

救急医の宿直回数基準超え  愛知県病院に労基署指導

2018年11月30日 14:50

 愛知県大府市のあいち小児保健医療総合センターが救急医に基準を超えた回数の宿直をさせていたことが30日、分かった。労働基準監督署の指導を受け、センターを運営する県は医師を増やして改善する方針だが、救急医のなり手は不足しており確保の見通しは立っていない。

 厚生労働省の通達で、労基署の許可を受けた医療機関は、待機や病室巡回など軽度な業務に限り、医師らに週1回宿直させることができる。

 センターによると、救急棟を整備した2016年2月以降、5、6人の救急医が日替わりで宿直を担当。多い人は月6回以上になることが常態化しているとして、17年12月に半田労基署から指導を受けた。

 センターは研修医2人を加えた8人体制に変えたが、実際には研修医の宿直時は緊急事態に備えて別の医師1人が院内で待機していた。同労基署は今年8月、回数超過が改善されていないとして再度指導した。

 現在センターは医師を募集しているが見つからず、月4回を超える宿直は時間外勤務としている。担当者は「幅広い診療内容に対応できる救急医は確保が難しい」としている。【共 同】

同僚の血液検体提出  看護師を停職1カ月

2018年11月30日 11:45

 東京都は29日、患者として受診した都立病院で5月、元同僚の血液を自分の検体として提出したとして、別の都立病院で看護師をしている病院経営本部の男性主事(44)を同日付で停職1カ月の懲戒処分とした。

 都の調査に「服用中のサプリメントが血液検査の結果に影響し、予定していた自分の手術が延期になるのを懸念した」と話しているという。

 都によると、男性主事は元同僚に「研究のため採血させてほしい」と依頼。病院側には同病院の職員を装い「採血が苦手な後輩と練習する」などと説明し、検体容器を入手し、元同僚から採血した。過去の血液検査データとの隔たりがあったことから発覚した。【共 同】

風疹対策、39~56歳男性「まず抗体保有率85%以上に」  根本厚労相

2018年11月30日 11:43

 根本匠厚生労働相は30日の閣議後会見で、風疹対策に言及し、過去に1度も定期接種の機会がなかった39~56歳の男性について「2020年7月までに抗体保有率を85%以上に引き上げることを目指す」と明言した。20代などでも罹患者が出ているとの指摘については、当該層への対策を進める中で「状況を踏まえて必要に応じて検討すべき課題」との認識を示した。

 当該層の抗体保有率は他世代より低い約80%にとどまっており、29日に開かれた厚生科学審議会感染症部会ではこの世代に重点的に対応する方針が示された。根本厚労相は、まず東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催までの取り組みを強化し、それ以降も当該層への介入を継続することで21年末までに「抗体保有率90%以上の水準」への引き上げを目指して取り組むとした。

 一部で不適切に算定されているとの指摘がある妊婦加算については、「妊娠の継続や胎児に配慮した適切な診療を評価する」との趣旨をあらためて説明した。その上で、妊婦であると判断せずに診療した場合やコンタクトレンズの処方などで算定することは「不適切である旨を明確化する方向で検討する」と発言。検討内容も含め、引き続き制度の周知に努める意向を示した。

乳幼児の虐待防止、産後ケアで「助産師活用促している」  政府答弁書

2018年11月30日 11:43

 政府は30日、産後ケア事業において「助産師等の活用を促している」との答弁書を閣議決定した。乳幼児の虐待防止に関する川田龍平議員(立憲民主)の質問への答弁。

 答弁書では、厚生労働省が公表している「産前・産後サポート事業ガイドラインおよび産後ケア事業ガイドライン」で、産後ケア事業の実施担当者として「助産師、保健師、看護師を1人以上置くこと」と示すなど、助産師の活用を促しているとした。

慢性期脊髄損傷マウス治療  神経幹細胞に薬品与え移植

2018年11月30日 11:38

 けがをしてから時間がたち、運動機能の回復が困難になった「慢性期」の脊髄損傷のマウスでも、人工多能性幹細胞(iPS細胞)から作った神経幹細胞に特定の薬品を与えた上で移植すると、まひをした足が少し動くようになったとの実験結果を、慶応大の岡野栄之教授らが29日付の米科学誌電子版に発表した。

 脊髄損傷の患者は国内に15万人以上で、多くが慢性期。チームは従来、神経幹細胞の移植とリハビリを組み合わせた治療開発を試みていたが、今回は薬品で神経になる能力を増強した細胞だけで一定の回復を可能にした。岡野教授は「今後、慢性期の患者の治療につなげたい」と話している。

 チームは、人間のiPS細胞から作った神経幹細胞の培養液に、元々はアルツハイマー病治療薬として開発された「ガンマセクレターゼ阻害薬」を添加。その後、けがから1カ月半後(人間で半年後に相当)のマウスの脊髄に移植すると、2カ月弱で後ろ足が少し動くようになった。

 組織を解析すると、移植後に定着した細胞の75%が神経細胞に成長していた。脳から体の各部分に運動や感覚の情報を伝える神経同士のネットワークに起きた損傷を補っていたとみられる。

 チームはこの他、より早い時期の患者に神経幹細胞を移植する臨床研究を準備しており、来年にも開始する予定。【共 同】

臨時職員の待遇差「違法」  高裁、産業医大に賠償命令

2018年11月30日 11:33

 産業医科大病院(北九州市)の事務として働いている臨時職員の女性(58)が、正規職員と給与に差があるのは労働契約法違反だとして、大学側に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、福岡高裁は29日「待遇の差は不合理で違法」と判断し、請求を退けた福岡地裁小倉支部判決を取り消し、大学側に約113万円の支払いを命じた。

 判決で山之内紀行裁判長は「女性は30年以上勤務し、業務に習熟しているのに、同時期に採用された正規職員の基本給との間に約2倍の格差が生じている」と指摘。法改正によって非正規労働者との不合理な労働条件が禁じられた2013年4月から15年7月までの間の月額3万円のほか、賞与分を支払うよう命じた。

 判決によると、女性は1980年に採用され、1年ごとの有期契約を毎年更新。定期的な昇給はなかった。

 大学側は「判決を見ていないので回答を差し控える」としている。【共 同】

早産関与物質を発見  マウスで、治療法開発期待

2018年11月30日 11:30

 免疫細胞を炎症部位へ誘導する働きがあるタンパク質「ケモカイン」の一種が、早産に関与していることがマウスを使った実験で分かったと、和歌山県立医大の石田裕子講師らのチームが29日、発表した。

 チームによると、早産による未熟児は死亡したり、呼吸障害や網膜症などの合併症が起きたりするリスクがある。このケモカインの働きを抑えられれば、早産を減らす新たな治療法の開発につながる可能性があるという。

 チームは、早産にさまざまな免疫細胞が関与していることや、早産した妊婦の血中でCX3CL1というケモカインが増えていることに着目。

 CX3CL1が働かないように遺伝子操作したマウスと、通常のマウスをそれぞれ8匹ずつ妊娠させ、早産を誘発する物質を投与した。

 すると、通常のマウスは7匹が早産したのに対し、遺伝子操作したマウスは1匹にとどまった。

 通常のマウスにCX3CL1の働きを抑える抗体を投与した実験でも、早産が減少し、CX3CL1が早産に関与していることが分かったとしている。

 早産は感染症や体質などによって引き起こされる。石田講師は「早産には根本的な治療法がないが、今回の成果は人間にも生かせる」と話した。【共 同】

ゲノム編集で子「無責任」  国際会議、調査求める

2018年11月30日 11:29

 香港で開かれていたゲノム編集技術の人への応用の在り方を話し合う国際会議は29日、中国の研究者がこの技術を使って子を誕生させたと主張したことについて「事実ならば無責任で国際的な規範にのっとっていない」として、実際に行われたかどうかを含めて第三者機関で調査するように求める声明を発表した。

 会議では、南方科技大の賀建奎副教授が「ゲノム編集技術を受精卵に使い、健康な双子の女児を誕生させた」と報告したが、証拠となる情報は十分に示されず、実施の真偽は明らかになっていない。

 声明は、賀氏の研究は人を守るための倫理的な基準が満たされていない上に、手続きの透明性も欠けており、計画の作り方が不適切だと指摘。現時点で受精卵にゲノム編集技術を使うことを認めるにはリスクが大きすぎると結論づけた。

 また中国の医療政策を担当する国家衛生健康委員会は賀氏の発表を受け「科学研究や医療行為は関連法規と倫理規範に基づいて行うべきで、違反行為は断固取り締まる」とのコメントを発表した。同委幹部は29日、国営中央テレビに対し、報道を見る限りにおいては違法との認識を示した。

 会議は米国、英国、香港の科学者組織が中心となって27~29日に開催。日本の研究者も参加した。【共 同】

金沢医科大入試で出題ミス

2018年11月30日 11:26

 金沢医科大(石川県内灘町)は、24日に実施した2019年度の医学部AO入試と推薦入試で出題ミスがあったと29日、発表した。理科の選択科目のうち生物で、募集要項では出題範囲外としていた植生の分野が含まれていた。合否に影響はないとし、合格発表を予定通り29日に行った。

 理科は物理、化学、生物から2科目を選択。受験者345人のうち生物を選んだ224人全員を正解とし、不公平が生じないよう物理と化学でも加点した。28日に受験生の関係者を名乗る人物からのメールで発覚した。【共 同】

第二部会、ギリアドの「エプクルーサ」も了承  初のC型非代償性肝硬変薬

2018年11月30日 10:33

 厚生労働省は29日に薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会を開き、新薬の承認や一変承認に関する審議事項8件を了承した。国内初のC型非代償性肝硬変治療薬であるギリアド・サイエンシズの「エプクルーサ配合錠」(一般名=ソホスブビル/ベルパタスビル)なども含まれている。いずれも年内をめどに承認される見込み。

 エプクルーサ配合錠は、IFNフリー薬「ソバルディ」と、NS5A阻害作用を持つ新有効成分ベルパタスビルを組み合わせた配合剤。新有効成分含有医薬品・新医療用配合剤に該当する。適応は「C型非代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善」および「前治療歴を有するC型慢性肝炎またはC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善」。

 C型非代償性肝硬変に対してはエプクルーサ単独で使用するが、C型慢性肝炎とC型代償性肝硬変については、同日の部会で同じく適応追加が了承されたMSDの抗ウイルス薬「レベトール」(リバビリン)との併用で用いる。

 承認されればC型非代償性肝硬変の適応を持つ国内初の薬剤となる。国内ではHCV感染患者のうち、非代償性肝硬変患者は約3万5000人と推定されている。

 海外では、欧米を含む52の国や地域で承認済み。

●小野薬品の悪性黒色腫薬2剤も

 小野薬品工業のBRAF阻害剤「ビラフトビカプセル」(エンコラフェニブ)とMEK阻害剤「メクトビ錠」(ビニメチニブ)は、いずれも新有効成分含有医薬品で、「BRAF遺伝子変異を有する根治切除不能な悪性黒色腫」に対して併用する。ともに希少疾病用医薬品に指定されている。全例調査などが承認条件。海外では32の国や地域で承認済み。

 ファイザーの不可逆的汎ヒトEGFRチロシンキナーゼ阻害剤「ビジンプロ錠」(ダコミチニブ水和物)は、非小細胞肺がん(NSCLC)に対する新有効成分含有医薬品。適応は「EGFR遺伝子変異陽性の手術不能または再発NSCLC」。海外では承認されていない(今年8月時点)。

 MSDの「ザバクサ配合点滴静注用」(セフトロザン硫酸塩/タゾバクタムナトリウム)はレンサ球菌属、大腸菌、シトロバクター属、クレブシエラ属、エンテロバクター属、プロテウス属、緑膿菌に対する広域抗菌薬で、尿路感染症や腹腔内感染症の治療に用いる。新有効成分含有医薬品・新医療用配合剤。海外では66の国や地域で承認を受けている。

 ノバルティス ファーマの乾癬治療薬「コセンティクス」(セクキヌマブ〈遺伝子組換え〉)は「強直性脊椎炎」の適応を追加する。海外85カ国以上で承認済み。MSDの抗PD-1抗体「キイトルーダ」への「高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する固形がん」の適応追加を含めると、計8件となる。

●「ヘムライブラ」や「テセントリク」の適応追加も

 一変承認に関する報告事項3件も了承した。中外製薬の血友病A治療薬「ヘムライブラ」(エミシズマブ〈遺伝子組換え〉)は「インヒビター非保有」の適応を追加する。現在の適応は「インヒビター保有」のみ。非保有の適応追加が承認されれば使用対象患者が大きく拡大することになる。また現在は週1回の皮下投与だが、2週に1回投与や4週に1回投与も追加する。

 中外製薬の抗PD-L1抗体「テセントリク」(アテゾリズマブ〈遺伝子組換え〉)は、NSCLC(扁平上皮がんを除く)について、他剤(カルボプラチン、パクリタキセルおよびベバシズマブ〈遺伝子組換え〉)との併用によって1次治療で用いることができるようにする。最後の1件は、キイトルーダのNSCLCや悪性黒色腫に関する適応の拡大となっている。

 このほか同日の部会では、ギリアドのHIV-1感染症治療薬ビクテグラビルナトリウムや、先駆け審査指定制度の対象品目の一つであるIDA社の遺伝性血管性浮腫(HAE)発作抑制薬BCX7353の希少疾病用医薬品指定も了承した。

 大塚製薬の抗がん剤「ブスルフェクス」など医療用医薬品の再審査結果(2件)も報告。いずれもカテゴリーⅠだった。【日刊薬業】

キイトルーダ、国内初「MSI-Highがん」の適応追加へ  第二部会、年内にも承認

2018年11月30日 10:25

 厚生労働省は29日に薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会を開き、MSDの抗PD-1抗体「キイトルーダ」(一般名=ペムブロリズマブ〈遺伝子組換え〉)について、国内初となる「がん化学療法後に増悪した進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する固形がん(標準的な治療が困難な場合に限る)」の適応追加を了承した。年内をめどに承認される見込み。

 MSI-Highは、傷ついた遺伝子の修復をする機能が低下していることを表すバイオマーカーで、MSI-Highを示す固形がんとしては、大腸がんや胃がん、膵臓がん、子宮内膜がんのほか、乳がん、前立腺がん、膀胱がん、甲状腺がんなどがある。

 キイトルーダは今年3月にMSI-Highを有する固形がんの適応追加を申請し、6月に条件付き早期承認制度の対象品目・第2号に選ばれていた。

 承認条件は▽医薬品リスク管理計画を策定し、適切に実施▽がん化学療法後に増悪した進行・再発のMSI-Highを有する固形がん患者を対象に実施中の2つの臨床第2相試験について、終了後速やかに結果を医療現場に提供する▽結腸・直腸がんを除く固形がんの有効性に関する情報が限られているため、製造販売後に使用成績調査を行い、使用患者の背景情報を十分に把握するとともに、有効性や安全性に関するデータを早期に収集して適正使用に必要な措置を講じる―の3点。承認されれば、共通のバイオマーカーに基づくがん腫横断的な適応を持つ国内初の薬剤となる。

 同剤はMSI-Highを有する固形がんのうち、「がん化学療法後に増悪した進行・再発の」「標準的な治療が困難」といった条件に該当する患者に用いる。

 MSI-Highを有する患者の割合は、がん腫や病期ステージによって異なるとされる。例えば結腸・直腸がんの場合は5.9%と報告されている。また胃がん、子宮内膜がん、小腸がん、子宮頸がん、前立腺がんなどはⅠ~Ⅲ期で10%、Ⅳ期で5%といった報告がある。ただ同剤の適応には「進行・再発の」「標準的な治療が困難」といった縛りがあるため、投与患者数がどの程度になるかは読み切れない。

 MSI-Highを有する固形がんの適応は、海外では米国を含め14の国や地域で承認されている。

●NSCLCや悪性黒色腫の適応も拡大

 同日の部会では、キイトルーダの既存適応の拡大に関する報告も行われた。非小細胞肺がん(NSCLC)について、PD-L1陽性の有無にかかわらず使用できるようにするほか、悪性黒色腫に対する術後補助療法の適応も加える。さらに悪性黒色腫の用法・用量を「体重当たりの用量」(1回2mg/kg)から「固定用量」(1回200mg)に変更することも了承された。

 今回の見直しに合わせて、最適使用推進ガイドライン(GL)の作成や改正も行う。MSI-Highがんを有する固形がんについて新たにGLを作成するとともに、NSCLCや悪性黒色腫のGLを一部改正する。いずれも承認に合わせて公表する予定。【日刊薬業】